雪国秋田も少しずつ暖かくなって 梅も桃も桜もいっせいに花開くこのいい季節に
父は亡くなった。
数年前 母上を亡くされた友人がどんよりした天気が余計に悲しかったと言った。
父が亡くなった日は快晴で、周りの人たちが花見、花見と浮かれているのに こっちはそう思えなくて
青空も 咲き始めた花々も見ていて悲しかった。
その時の私の気持ちと天気のギャップがありすぎた。
人によって悲しいときの天気の感じ方はそれぞれ違うものだと思った。
今年は父の命日を母と一緒にむかえた。
夕べ寝る時に 『あした何を作ろう?』と相談したら 即座に「あんこ餅」と返ってきた。
先日たくさん作ったこしあんの出番である。
小さめに丸めた半搗きのお餅に多めのあんこの衣を着せる。
半分は中にあんこを入れて青のりをまぶした。
甘いものはほとんど食べない父だったからせめて青のりの香りだけでもと私からのサービス♪
若い父の写真に一つだけお供えする。
母はそっと祈っている。
静かにシャッターをきった一枚。
そのあと母は美味しそうにお餅を食べた。
私二つ、母は三つ。
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さしびろのかやぎ これも秋田の春の味